浮草日記

メルヘン系ブログ

人生とはこうしたもの

今日は上野の怖い絵展に行き、映画『it』を見た



怖い絵展は面白かったが、期待していたほどのものかといえば疑問が残る。

『怖い』という感情をそのままテーマにしているくらいだから激しく感情を揺さぶられるのだろう、と期待していた私にとっては少々肩透かしだった。


美術展には特定のテーマや人物について年代順にまとめたものが多く、その形態が僕は好きだ。その人の考え方や表現方法の変遷がわかりやすく理解できるためである。

しかし、怖い絵展は違う年代のものを乱雑に並べている印象が強かった。個々の絵は全体的にそれなりのインパクトがあるものの、絵単体にぐわっと引き込まれるような感覚は味わえなかった。たとえばダリ展に行った時はかなり感性を刺激されるような感覚があったのだが。


テレビで特集されたせいらしいが、1時間強待ってまで入るほどのものではないというのが正直な感想だ。

どちらかと言うと、私がより強く惹きつかれたのは公園そのものだ。日差しが強い中少し冷たい風が吹く今日の上野公園は、とても心地よく、さわやかな秋の匂いがした。



昼食後、映画『it』を見た

結論から言うととても面白かった。ホラーというか、一つの映画作品として質が高いと思う。知らんけど

映画館でホラーを見るのは人生初の体験なので他の映画がどうなのかはわからないが、itはホラーパートがホラーパートとして独立していないところがとても良かったと思う。

これ以下ネタバレを含むので視聴予定のある人は見ないでくれ。割とマジでオススメなので、極端にホラー苦手じゃなければ是非見てほしい。


ざーーーっくり言うと、itはどこか普通でない少年たち(自称loser's club。母親に過剰な束縛をされていたり、吃音症だったり、黒人やデブということでやべーいじめられ方してたり)が恐怖に打ち勝つ物語だ。

物語の中で少年たちは、自分の最も怖いものに変身した異能キチガイカニバリズムピエロに殺されかける。ピエロはきまって少年たちが一人の時に現れる。演出が上手いと思ったのは、少年たちにとっての恐怖体験がそのまま視聴者にとってのホラーシーンとして恐怖を与えている点だ。

物語の中で子供たちはみんな恐怖を植え付けられてるんだけど、視聴者もそのシーンではホラーの演出に恐怖してるから子供たちに共感できる。子供たちも怖いし、俺たちも怖い。子供たちが怖いのめっちゃわかる。まあホラー映画なんだからそこは当たり前。

この映画の面白いところは、子供たちと視聴者が共有してる恐怖という感情を、子供たちが最後に団結して克服するというところ。恐怖を共有してるからこそ、克服するシーンにはとても感動したし、その勇気と強さがよりリアルに伝わってくるんだよね。うおーすげえ!ってなる。こんなに怖いのによく頑張ったよ!勇気あるんだな!って。


ホラーパートが独立していないというのはそういうこと。ホラー映画だからホラーシーン流すやで!っていうんじゃなく、ホラーシーンから受け取る視聴者の感情までちゃんと計算して丸々一本の映画作ってるんだよね。

まあ勇気とか団結ってのは勿論後付けのテーマだとは思うんだけど、それにしてもよくまとまっててよかった。


ちなみにホラーパートは普通に怖かった。音楽がずるいよ音楽が。感情はコントロールできませんね。頭は強くないようなシーンでも、音楽流れると心と体はめっちゃ怖がるんだよね。